全国病院組織開発協会(MODA)
共同代表 桐野です。
2019年は
視察やカンファレンスで
海外によく行きました。
3月にオランダ教育の視察に
行った時のことです。
小学校中学年くらいのクラスを
見学していると、
黒板の下に
写真のような付箋が
いくつか貼ってありました。

案内してくれていた校長先生に
その中の1枚を指して
付箋に何が書かれているのかを
聞いたところ
「私は今日、意地悪をされて悲しかった」
と書いてあると言います。
さらに
「このクラスでは、
嫌なことや悲しいこと、困ったこと等があると
生徒が自由に付箋に書いて、
黒板の下に貼ることになっていて、
その付箋を元に
下校前にクラス全員で
そのことについて話し合っている」
って言うんです。
この話にすごく興味が出て、
校長先生にゆっくり話を
聞かせてもらうことにしました。
少し端的ですが、
その時にやりとりをご紹介しますね。
桐野:嫌なことや悲しいことを自由に書くってことですが、
クラス全員が見える場所なのに
生徒は書くというか、書けるんですか?
校長:もちろん!
それはこのクラスにとって必要なことだって
生徒が一番分かってるからね
自分のために書くんじゃなくて
クラスみんなのために書くんだって
生徒は思ってるから。
桐野:クラスみんなのために?
校長:付箋を見ると、意地悪した子とされた子の
問題に見えるかもしれないけれど、
別の機会に同じことが
人を変えておこるかもしれないでしょ。
桐野:なるほど・・・
校長:おこった問題は、
その人だけの問題ではないでしょ
誰にでもおこりうる問題じゃないですか
桐野:原因の追究や解決策を出すのではなく
生徒自身が付箋を通じて学び
自分のこととして話し合うってことですか?
校長:その通り
桐野:なるほど・・・
ちょっと意地悪な質問かもしれませんが
犯人探しをするような話になったりしないんですか?
校長:ないですね。
問題がおこった時だけ
そういう話し合いをしていたら、
原因の追究をしたり、
犯人探しをしてしまうかもしれませんね。
だから、
私たちの学校では、
これを毎日やることで、
生徒の日常にすることを目的にしているんです。
この付箋は、
意地悪って話ですが、
授業中にお腹が鳴って恥ずかしかったとか、
忘れ物をして先生に注意されて恥ずかしかったとか、
そういった話をテーマにすることもあるんです。
誰かの個人的な問題ではなく
私たち全員の問題であり、
私たち全員におこりうることだよね
ということを前提に話し合うんです。
問題の大小問わず
毎日行うので、
生徒はそのことを理解できています。
桐野:なるほど・・・
先生は、話し合いの時には
どういうスタンスなんですか?
校長:基本的に先生は質問するだけです。
答えがない問題ですし、
テーマになる付箋や話し合いから
自分にとって何が大切かや
これからどうすれば良いかは、
生徒が自ら考えることが大切です。
生徒が話している様子を見ながら
先生は質問をするだけです。
・・・続く・・・
校長先生からこの話を聞いた時
私は、自分の思考の枠がガラリと変わったんです。
組織で起こる問題は、
全員の問題として捉える
答えは他者との関わり(話し合い)の中で
自分自身で導く
これを日常的にやることの大切さ
たまたま興味をもった
1枚の付箋から見えた小学生の日常には
自律した組織には欠かせない視点がつまっていました。
もしかしたら、
この3つのことを
当たり前に思われるかもしれませんが、
実際に実践している組織は
ほぼないかと思います。
例えば、
Aさんに無視されて辛いんです
っていうBさんの申し出があったら
どうしていますか?
多くの組織では、
AさんとBさんから個別に話を聞いたり、
双方を集めて話をしたりして、
管理職がまとめたり、解決するケースが
多いのではないでしょうか?
この話を
オランダの小学校におきかえると
組織全員でBさんの申し出を共有し
話し合うという状況になります。
何よりも私にとって刺激的だったのは
日常のものとする
という事でした。
まさに
組織風土を醸成するとは
こういうことだな
だと感じたのです。
問題がおこった時には話合う、
半年に一度面談する、
何かあれば取り組む、
といったことでは、
やっていることが問題ではなく
そもそもの前提が違っているので、
組織風土は変わらなくて当然かもしれませんね。



